おしえて骨粗鬆症
2.骨粗鬆症の検査と治療
運動のポイント
日光には、ビタミンDを皮膚で合成する作用がありますので、天気のよい日はできるだけ外出して日光にあたるようにしましょう。ただし、日焼けするほどあたる必要はありません。直射日光でなく木陰などでも十分な効果があります。
例えば、10µgのビタミンDを作るのに必要な日光浴の時間は、手の甲と顔に太陽を浴びる場合、夏場は朝・昼であれば5~30分程度必要です。
また、冬場は地域によって異なりますが、15分~60分程度の日光浴が必要と考えられます。
日光浴に必要な時間は?
一般的にはビタミンD産生のための日光浴の推奨時間は、夏で30分(日陰)、冬で1時間程度といわれています1) 。ただし、ビタミンD産生量は季節や時間帯や地域によって変化します。特に冬場ではビタミンDを産生のために必要な時間が長くなりますので、紫外線量の多い正午の時間帯に日光を浴びると効果的です。
1) 津川尚子, Pharma Medica 33巻2号, 23-30 (2015)
運動について
活発な身体活動や日常生活活動は、骨を強くし、筋力アップにもつながりますので、体を動かす習慣をつけるようにしましょう。
体を動かす習慣をつけましょう
カルシウムの吸収を助けるビタミンDは日光を浴びることにより皮膚で産生され、骨を強くします。
-
毎朝の習慣に
ラジオ体操 -
ウォーキングなどの
軽い運動
日焼け止めはビタミンD産生量を低下させる可能性も
強い骨をつくるためには、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの働きが重要です。ビタミンDは食事からの摂取だけでなく、日光を浴びることでも得ることができます。日光に含まれる紫外線にはヒトの体内でビタミンDを合成する働きがあります。しかし、日焼け止めをしていると皮下でのビタミンD産生量が低下する可能性があります。例えばSPF30*の日焼け止めをしていると、皮下でのビタミンD産生は5%以下に落ちるといわれています2)。
* SPFとは日焼け止めの効果を示す指標の1つ。日焼け止めを塗った場合、塗らない場合に比べて何倍の紫外線量をあてると翌日かすかに赤くなるかを示す。
2) 環境省「紫外線環境保健マニュアル2015」
骨の健康には適度な日光浴が大事
ビタミンDの不足は骨の材料であるカルシウムの吸収の低下を招き、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)による骨折のリスクを高める要因となります。特に高齢者では、骨折は寝たきりの原因につながりやすいため注意が必要です。紫外線対策は子供から大人にいたるまで、皮膚がんのリスク軽減や肌のケアなどのため欠かすことができないものでもありますが、骨の健康を考えると適度に日光を浴びることも大切です。
外出時の注意と工夫
外出時には転ばないように注意することが大切です。
天気の悪い日や気分が向かないときなどは、無理をせず外出を控えたほうがよいでしょう。
散歩のときの服装は動きやすいものがよく、靴はサンダルやヒールの高いものではなく、履きなれた運動靴にするのがよいでしょう。
荷物などは手に持つのではなく、リュックなど両手が自由になるものにすると、転倒したとき手で身体をかばいやすいです。
-
荷物などは持たないで、
できるだけ両手をあけて歩きましょう -
雨や雪の日の外出は
控えましょう -
サンダルはやめて、
履きやすい運動靴などにしましょう
運動はロコモの予防にもつながります
運動には以下のような利点がありますので、軽い運動でも毎日継続して取り組みましょう。
- 身体を動かすことで骨が強くなる
- 骨を支える筋肉が増え、バランス感覚がよくなるため、転倒しにくくなり骨折を予防できる
- 運動により筋力の低下が抑えられ、寝たきりを引き起こすロコモティブシンドローム[略称:ロコモ]の予防になる
監修 : 鳥取大学医学部 保健学科 教授 萩野 浩先生
2020年12月作成