TOP > おしえて変形性膝関節症:3.変形性膝関節症を予防するには?:膝の働きを保つための運動

おしえて変形性膝関節症

3.変形性膝関節症を予防するには?

膝の働きを保つための運動

変形性膝関節症の発症を予防し、発症した場合にもなるべく悪化させないようにするには、関節を動かす働き[可動性]や体重を支える働き[支持性]など、膝関節本来の機能を維持することが重要です。

そのための訓練には、大腿四頭筋[太もも前面の筋肉]を中心に膝関節周囲の筋肉を鍛える「筋力訓練」や、膝関節の曲げ伸ばしによって動かせる範囲を大きくする「可動域訓練」があります。

膝を悪くしないためには、関節に負担をかけないこと、関節本来の機能を維持することが大切です 膝を悪くしないためには、関節に負担をかけないこと、関節本来の機能を維持することが大切です
筋力訓練
太もも前面の筋肉を鍛える
  1. 椅子に腰かける
  2. 片方の脚を水平に伸ばす(このとき足首を立てる)
  3. 5~10秒そのままでいる
  4. 元に戻す
脚全体の筋肉を鍛える
  1. 肩幅より少し広めに脚を開いて立つ
    (このときつま先は少し外を向くように)
  2. 息を吐きながら、椅子に腰かけるようにお尻をゆっくりとおろす
    (何かにつかまっても構いません。
    膝は曲がっても90度を超えないようにする)
  3. ゆっくり息を吸いながら、膝を伸ばす
太ももの外側の筋肉を鍛える
  1. 横向きに寝る
  2. 上の脚を伸ばしたまま股を開くようにゆっくり上げる
  3. 5秒ほどそのままでいる(息は止めない)
  4. ゆっくりおろす
可動域訓練
膝の曲げ伸ばしをよくする
  1. 膝を伸ばして座り、かかとの下にタオルをおく
  2. かかとをゆっくりすべらせながら片膝を立てる。
  3. できる限り膝を曲げる
  4. ゆっくりすべらせて、膝をできる限り伸ばす

膝関節を支える最も大切な筋肉は太ももの筋肉で、この部分の筋力を保つことが重要です。太ももの筋肉を鍛える方法はいろいろあり、膝痛が軽度な場合はウォーキングなど適度な運動がおすすめです。また、膝痛で困っている人には膝関節に負担をかけない筋力訓練の方法もあります。

一方、膝の動きを良くする訓練では、関節の動きを柔らかくすることが大切です。曲げ伸ばしの訓練では入浴時など関節が温まった状態が勧められます。

入浴時にできる膝の曲げ伸ばしをよくする訓練 下記を片脚づつ行います ①湯ぶねの中に足を延ばして座る ②かかとをゆっくりすべらせて膝をできる限り曲げる ③かかとをゆっくりすべらせて膝をできる限り伸ばす 入浴時にできる膝の曲げ伸ばしをよくする訓練 下記を片脚づつ行います ①湯ぶねの中に足を延ばして座る ②かかとをゆっくりすべらせて膝をできる限り曲げる ③かかとをゆっくりすべらせて膝をできる限り伸ばす

出典:日本整形外科学会「変形性ひざ関節症の運動療法」

さらに、膝関節周囲の筋肉や腱、靭帯などの柔軟性を保つためのストレッチも効果的です。

膝の動きをよくするストレッチ 下記を片脚づつ行います ①膝を伸ばして座る ②膝に力を入れ、つま先を伸ばして5秒ほどそのままでいる(息は止めない) ③膝に力を入れ、つま先をそらせて5秒ほどそのままでいる(息は止めない) 膝の動きをよくするストレッチ 下記を片脚づつ行います ①膝を伸ばして座る ②膝に力を入れ、つま先を伸ばして5秒ほどそのままでいる(息は止めない) ③膝に力を入れ、つま先をそらせて5秒ほどそのままでいる(息は止めない)

出典:日本整形外科学会「変形性ひざ関節症の運動療法」

このように、様々な方法で膝関節の基本的な機能を維持することが膝痛を軽減することに繋がります。
ただし、膝の痛みや腫れが強いとき、膝を少し動かしただけで痛みが強まるとき、体調が悪いときなどは、 膝に過度な負担がかかり、症状の悪化をまねくことがありますので、無理な運動は控えましょう。 詳しい運動の内容や回数はかかりつけの先生とよく相談してください。

監修:新潟医療福祉大学 教授 大森 豪先生

2020年12月作成