おしえてロコモティブシンドローム
1.ロコモとは?
- ロコモとは?
- ロコモの原因
ロコモの原因
ロコモ発症の要因は
日常生活の中にあり!
ロコモティブシンドローム[略称:ロコモ]の発症には、日常の生活習慣が深く関連しています。
健康な状態から要支援・要介護の状態に至るまでに、起立・着座・歩行・階段昇降などの移動に関わる機能が緩やかに低下していきます。
ロコモの原因となる疾患とは?
ロコモの発症には主に以下のような疾患が関係しています。
● 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
● 変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)
● 変形性腰椎症(へんけいせいようついしょう)
● サルコペニア[筋肉減少症]
● 腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
腰や膝の痛みは放置しないことが大事
高齢者では腰や膝の痛みを「年のせい」と考え、これを放置し続ける結果、骨粗鬆症や変形性関節症などの運動器疾患の発症を見逃してしまう可能性があります。
腰や膝の痛みが続く場合は、早めに医師の診察を受け、ロコモを進行させないことが大切です。
症状を悪化させないためには、早めに医師の診察を受けることが重要です。
子どものロコモってなに?
「子どものロコモ」とは子どものロコモティブシンドロームの略で、「運動器機能不全および不調」だけでなく、子どもの運動器疾患・障害、ケガなどによって、日常生活、学校生活、スポーツ運動生活に支障をきたしている状態、または支障をきたすリスクの高まった状態を指します1)。「運動器」とは、骨や関節、筋肉や神経など、体を動かすのに必要な器官のことをいいます。
ロコモは高齢者の症状と思われがちですが、最近では子どもにも広がっていることが指摘されています。
その背景には子どもの運動不足があり、車社会による歩く機会の減少、スマートフォンやテレビゲームの普及による姿勢の悪化・外遊びの減少などが影響していると考えられています。
1)柴田輝明(2016)『跳び箱に手をつき骨折する子ども』ポプラ新書
子どものロコモを
放っておくとどうなる?
運動不足による子どものロコモがそのまま放置されると、体を支える体幹が弱くなり、些細なことでもケガをしやすくなります。
さらに、体幹が弱いと「起きているだけでだるい」、「動くと疲れるから家でごろごろしていたい」という状態に陥りやすくなり、集中力や精神力、行動力にも影響を及ぼします。
また、運動不足が続き肥満傾向のまま中高年の年齢に入ると、メタボリックシンドロームを引き起こし、糖尿病や脳卒中など、命の危険のある生活習慣病にかかるリスクが高くなります1)。
1)柴田輝明(2016)『跳び箱に手をつき骨折する子ども』ポプラ新書
若い頃からの規則正しい生活習慣は
将来のロコモ予防につながる
子どものロコモ対策では、骨を支えていく体幹を鍛え、丈夫な体を維持することが重要です。
そのポイントとなるのが、運動、食育[何をどう食べるか。食べる楽しみづくり]、休養・睡眠です。これらの生活習慣は骨や筋肉の成長に関係しています。
骨は10歳代が成長期で20~30歳代で骨量はピークを迎えます。そのため、若いうちから規則正しい生活習慣を身につけることが大切なのです。
出典: 日本整形外科学会
「ロコモパンフレット2015年度版」より
学校健診に運動器の項目が
新たに追加
座高検査が学校健診の必須項目から削除された一方で、運動器の項目が新たに加えられました。これは、主に背骨の状態、関節や筋肉の柔軟性、からだのバランスをとる力などを評価するものです。その背景の一つには、ロコモがあります。最近では子どもにも運動器に関するさまざまな問題が増えてきており、その主な原因として子どもの運動不足などが指摘されています。子どものころからの運動不足は、基礎的な運動能力の低下により大人になっても運動不足につながりやすく、結果としてロコモやメタボリックシンドロームに発展しやすくなります。
このような課題について、学校でも何らかの対応をすることが求められてきた結果、その対応策の一つとして2016年4月から学校健診においても運動器のチェックが行われています。
監修:医療法人社団愛友会 伊奈病院 整形外科部長 石橋 英明先生
2020年12月作成