おしえて骨粗鬆症
2.骨粗鬆症の検査と治療
お薬による治療
骨吸収と骨形成を調節するお薬を使います
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になると、骨の量が減ってスカスカな状態となり、骨折しやすくなります。
ほぼ正常な骨の断面
骨は若さと強さを保つため、古い骨を壊し[骨吸収]、新しい骨を作る[骨形成]というサイクルを常に繰り返しています。
このような骨の新陳代謝は、古い骨を壊す破骨(はこつ)細胞と、新しい骨を作る骨芽(こつが)細胞のはたらきによって行われています。
お薬による治療について
治療はお薬による治療が中心に行われますが、症状や原因、治療方針によって使うお薬が異なります。
治療薬には主に以下のような種類があります。
お薬は正しく使い続けることが大切です
医師は患者さんの性別、年齢、骨の状態、痛みなどの症状のほか、お薬の副作用、その患者さんがお薬をきちんと飲み続けられるかなどを総合的に考えて、適切な治療法を選んでいます。
骨粗鬆症は、患者さんによって状況や症状が異なりますので、ほかの骨粗鬆症の患者さんと治療法やお薬が違っても心配はいりません。
処方されたお薬は用法・用量を守って継続しましょう。
骨粗鬆症の治療は、医師がその人に合った治療法を選んでいます。お薬を服用中の方は、正しく服用し、治療を継続することが重要です。
腰の痛みなどがなくなって自分の判断で服薬を中止してしまうと、骨を丈夫に維持できなくなり、転倒などによる骨折で寝たきりになるリスクが高まってしまいます。
治療を正しく継続すれば、家族と散歩や旅行などに行けるような元気な状態を保つことが期待できます。
治療は自己判断で中止せず、根気強く継続しましょう。
腰の痛みなどがなくなっても自己判断で治療を中止せず、処方されているお薬を飲み続けるようにしましょう。
骨粗鬆症で治療中の方は
定期的な口腔ケアで
口の中を清潔に保つことが大切
骨粗鬆症の治療中に口の中を不衛生にしていると歯やあごに異常がみられる可能性があるため、お薬による骨粗鬆症の治療を一時中断しなければならなくなることがあります。
口の内には約500種類の細菌が存在しますが、ブラッシングが充分でなかったりすると、歯の表面に付着した細菌がネバネバした物質を作り出し、歯垢を形成します。さらに、歯垢は放っておくと固くなり、ブラッシングでは取り除くことが困難な歯石へと変化します。歯垢や歯石は歯肉に炎症を引き起こしますが、炎症が広がるとお薬の副作用が起きる要因にもなりえますので、日常的に口の中のケアを行うことが大切です。
骨粗鬆症を治療中の患者さんでは、以下のような症状が現れた場合は医師、歯科医師、薬剤師に相談するようにしましょう。
- ● 口の中の痛み、特に抜歯後の痛みがなかなか治まらない
- ● 歯ぐきに白色あるいは灰色の硬いものが出てきた
- ● あごが腫れてきた
- ● 下くちびるがしびれた感じがする
- ● 歯がぐらついてきて、自然に抜けた
出典:厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル,
ビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死」
定期的に口の中の健康状態をチェックしましょう
骨粗鬆症を治療中の患者さんの場合は、治療継続のために定期的な口腔ケア(年に2回程度)が大切です。
骨粗鬆症治療をされている患者さんで歯科を受診する際には、お薬の名前を歯科医師に伝えるようにしましょう。
監修:鳥取大学医学部 保健学科 教授 萩野 浩先生
2020年12月作成